技術情報

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Technical Information

2019/08/29
浸炭1個処理が可能な Smart FLEC One

浸炭1個処理が可能な Smart FLEC One

【浸炭処理の現状と課題】
機械部品に強度付与するには、ガス浸炭炉や真空浸炭炉等で浸炭焼入れ処理を
行いますが、その処理時間は非常に長い時間が必要とされています。
そのため、浸炭処理における生産効率を高めるために、1回の浸炭処理で出来るだけ
多くの品物を同時に処理することが効果的であり、ロット単位やバスケット単位等に
まとめて浸炭処理する生産方法が一般的に採用されています。
大規模生産が可能な処理方法ではありますが、以下のような課題があります。

@生産工程の複雑化と人手作業の介在
機械部品の製造工程で、旋削や研磨等の機械加工や組立て工程は品物を1個ずつ処理しますが、
浸炭処理を行うために、熱処理前には、ロット単位やバスケット単位にまとめたり、
専用ジグにセットする工程、そして熱処理後には、1個ずつ後工程に流すための専用工程と
それらを生産管理することが必要となり、仕掛在庫の発生、生産工程の複雑化や生産リードタイム
の長期化要因となっています。
A不定な熱処理歪の発生
大規模ロット生産の浸炭処理は、処理バラツキが生じ易い傾向があり、その結果、処理品に
不定な熱処理歪が発生します。製品寸法を規格内にするには、熱処理後工程において、
歪除去工程が必要となり、材料の歩留まり低下や生産性の低下原因となっています。
B多様化する市場や消費者要求への対応
生産計画の変動にフレキシブルに対応し、よりコンパクトで効率的な生産方式が望まれています。

【解決手段】
リングや歯車(ギア)、シャフト等の代表的形状の処理品をインラインで1個ずつ
効率的に処理することを可能とした"Smart FLEC One"を開発しました。

[処理品を効率的に均一加熱が可能な誘導加熱の採用]
・処理品形状に最適化した誘導加熱コイルをCAE技術を活用し実現<図1>
・処理品以外の炉体や搬送バスケット、ジグ等を加熱する必要が無く、昇温時間の短縮と省エネ化を実現
[超高速浸炭方法の確立]
・浸炭処理温度を1200〜1300℃に高め、炭素拡散速度を増大させることで浸炭時間を大幅に短縮<図2>
・高温化により粗大化した結晶粒を微細化する再加熱方式を確立(特許取得済)
 (結晶粒を微細化することで高温化処理に伴う靭性の低下を抑制)<図3>
[焼き入れバラツキの低減]
・CAE技術と実機検証により、冷媒の流れと速度コントロール方法を確立(特許取得済)
・冷媒には焼入れ油ではなくポリマー水溶液を採用
[コモンベース化]
加熱室、焼き入れ槽をコモンベースと呼ばれる共通架台上に設置

【得られる効果】
[浸炭処理のインライン化が可能]
・超高速浸炭の採用で処理時間を大幅に短縮。浸炭1個処理を実現
 (効果例:狙いの有効効果層深さ 0.5oの場合※)
  ◇ガス浸炭(処理温度 950℃)⇒トータル処理時間 250分
  ◆超高速浸炭(処理温度 1200℃、850℃)⇒トータル処理時間 27.5分
・仕掛在庫不要、生産工程の簡略化、生産リードタイムの短縮化
※材料や処理条件等により効果の度合が異なります。まずはデモ機で効果をお試しください。
※焼き戻し工程のインライン化も可能ですので、お問い合わせください
[熱処理歪の低歪化・定歪化・高い再現性による生産性向上]
・誘導加熱コイルと焼き入れ槽の最適化設計により、熱処理歪の低歪化・定歪化・再現性を実現
 (効果例:外径Φ139mmリング形状品の熱処理歪を75%削減※)<図4>
・熱処理後の加工量が減り、材料削り代を低減。後加工廃止の検討も可能
 (熱処理後加工のサイクルタイム短縮,材料歩留り改善)
※材料や処理条件等により効果の度合が異なります。まずはデモ機で効果をお試しください。
[装置の設置・増設・移設が容易]
・装置の小型化、ピットレス化、コモンベース化により、装置を一体構造で移動可能
 天井の低い工場にも設置が可能で且つ、解体レスで据付や移設の工期を大幅に低減
 ピット掘削工事が不要なので、工場の生産計画変更に伴う移設や増設が短期間・低コストで実現可能
・ポリマー水溶液焼き入れ冷媒の採用で、消防法が適用外となり設置場所を選びません

【処理用途】
・自動車・建設機械部品、一般機械部品の浸炭焼き入れ

※"Smart FLEC"は、当社商標登録です

デモ依頼や商品に関するお問い合わせは、こちらまでお問合せください。


  • 図1 誘導加熱で処理品のみを効率的に加熱

  • 図2 処理温度の高温化で拡散速度が10倍に

  • 図3 適切な再焼入れで結晶粒を微細化

  • 図4 従来のロット処理に比べ低歪処理を実現

2019/06/21
小規模生産に最適なSmart FLEC浸炭炉

小規模生産に最適なSmart FLEC浸炭炉

【多品種少量生産における課題】
従来の金属熱処理は、連続式生産炉やバッチ式ラインを使って、同じ品物を大量に生産し、
低コスト化することが主流でした。しかし、市場や消費者の要求が時代とともに多様化し、
同じものを数多く作り続けることは限られたケースになってきています。
多品種少量生産では、数量や重量、条件等が異なる処理を行わなければなりませんが、
大量生産向きの熱処理装置で多品種少量生産を行うと、装置の生産能力に対し、生産負荷が
アンバランス(負荷の過小)となり、非効率で生産性が低下するという課題がありました。
また、大量生産向きの装置は大型であるが故に、据付・解体・移設等の作業や装置メンテナンスに
多大な期間や労力を費やす必要があり、工場の生産計画変更や装置の維持管理を容易に実施
することができませんでした。

【解決手段】
@加熱室を小規模生産に最適化
解析技術と実機検証により、装置小型化と加熱室温度精度向上を高次元で実現
A焼き入れ油槽のピットレス化
解析技術と実機検証により、油槽のピットレス化と焼き入れ性能を実現(特許取得済)
Bコモンベース化
パージ室、加熱室、油槽をコモンベースと呼ばれる共通架台上に設置

【得られる効果】
[小規模生産の生産性向上]
・小ロットでも効率的な生産が可能。Smart FLEC浸炭炉の並列設置や増設も可能で、
 多種ロットや生産負荷の変動にもフレキシブルに対応(並列設置レイアウト例参照)
[熱処理の効率化※]
・小規模生産に最適化され高応答な制御能力を持つ各処理室は高精度で効率的な処理が可能
 従来大型装置での処理時間(昇温/浸炭・拡散/焼き入れ他)を大幅に短縮
 (効果例:浸炭バラツキの低減で、浸炭の浅焼き化が可能となり処理時間が短縮)
※材料や処理条件等により効果の度合が異なります。まずはデモ機で効果をお試しください。
[熱処理歪の改善※]
・加熱室と油槽の最適化設計により、熱処理歪の低・定歪化を実現
 (効果例:外径Φ80mmリング形状品の熱処理歪を30%改善)
※材料や処理条件等により効果の度合が異なります。まずはデモ機で効果をお試しください。
[装置の設置・増設・移設が容易]
・装置の小型化、ピットレス化、コモンベース化により、装置を一体構造で移動可能
 天井の低い工場にも設置が可能で且つ、解体レスで据付や移設の工期を大幅に低減
 ピット掘削工事が不要なので、工場の生産計画変更に伴う移設や増設が短期間・低コストで実現可能
 (当社比例:従来装置に対し、Smart FLEC浸炭炉の据付工期は1/5以下)
[装置メンテナンス性の向上]
・装置の小型化により点検やメンテナンスの作業高さが低くなり、より安全で作業時負担を低減

【処理用途】
・自動車・建設機械部品、一般機械部品の浸炭焼き入れ

【製品情報】
Smart FLEC浸炭炉
・型式   :ERT-243016-ASTV(代表例)
・常用使用温度:800〜960℃
・炉内有効寸法:610(W)×760(D)×410(H)
・最大装入量 :Gloss 270kg/チャージ
※デモ機あり
※"Smart FLEC", "Smart FLEC浸炭炉"は、当社商標登録です

デモ依頼や商品に関するお問い合わせは、こちらまでお問合せください。


  • Smart FLEC浸炭炉

  • レイアウト例


2019/02/06
自動ターンダウン化による吸熱型ガス発生装置の省エネ

自動ターンダウン化による吸熱型ガス発生装置の省エネ

【課題】
鋼材の表面硬度を高めるためには、ガス浸炭炉等を使って熱処理を行いますが、その炉内雰囲気は一般的に吸熱型変成ガスが使用されています。吸熱型変成ガスは、LPGや都市ガスなどの炭化水素ガスを原料に、1050℃に加熱したニッケル触媒を通過させて反応生成させますが、次のような課題がありました。

・変成量の変更手動調節操作では、操作後のガス成分安定時間が必要であるため、生産稼働中に変成量を変更することは困難であった。
・変成ガスの需要量が変動した場合でも、変成ガスの供給不足が生じないように需要量に変動量を見越した余剰なガス変成が必要(生成量=需要量+マージン)であった。
・熱処理で使用されなかった余剰ガスは、排気ブリーザで燃焼する必要があった。


【対策】
・変成ガスの需給バランスを自動調整するための自動ターンダウン※システムを開発
・自動ターンダウンシステム(特許取得済)の概要:

混合ガス(原料ガスと空気)流量をバイパス流路を備えた空気流発生装置と流量制御装置
(バイパスレギュレタ)で調整します。制御は変成炉の下流側における変成ガスの圧力に
応じてバイパス流路を流れる混合ガスの流量を調整することで、需給バランスを保ちます。
※ターンダウンとは、変成ガス量を必要量に応じて増減させること。

【得られる効果】
・簡素化した構造で需要量の変動に追従した変成ガス量が自動供給できる。
・余剰変成ガスが不要となる
原料ガス流量低減 :余剰想定分 △3m3/h(△約3.5%)※
消費電力低減 :△約3,000kWh/年※
CO2排出量削減 :△約12.8t-CO2/年※
余剰ガスの燃焼が不要となる。

※効果例の条件
機種:EN-4000MT-TD
負荷側の変成ガス必要量:85m3/h
年間稼働時間:24時間/day×350days/年
CO2排出係数:0.000512(t-CO2/kWh)環境省2018年度の温室ガス排出量算定代替値


【対象製品】
吸熱型ガス発生装置 ENシリーズ
(EN-1000MT, EN-2000MT, EN-4000MT)

※技術や装置に関するお問い合わせは、こちらまでお問合せください。


  • NEWタイプ装置外観(EN-2000MT-TD)



2018/12/25
加熱室攪拌ファンの長寿命化

加熱室攪拌ファンの長寿命化

【課題】
機構部品等に浸炭や焼入れなどの表面改質を行うには、そのひとつの手段として、バッチ式や連続式の工業炉を使用して熱処理が行われています。これらの工業炉には、処理室内の雰囲気を均一化させるための攪拌ファンが装備されていますが、処理条件などによっては、攪拌ファンに過大な応力が作用して、短い期間で変形や破損が生じてしまうという課題がありました。

【対策】
・処理条件と攪拌ファン寿命の相関性を調査・分析
・攪拌ファンに生じる温度分布と遠心力による応力をCAE解析し、
 応力緩和による長寿命化構造を開発 (特許取得済
・互換性設計の実施
・試作した攪拌ファンのヒートサイクル加速試験を実施し、改善効果を検証

【得られる効果】
・過酷な処理条件においても攪拌ファンの長寿命化(耐用年数が従来の2倍以上)が図れ、
 攪拌ファンのトラブルに起因する装置停止期間とメンテナンスにかかる費用が低減
・既設の当社製工業炉にコンパチブルで交換可能
(特別な改造なし。従来のファン回転数で同じ風量を確保)

【対象製品】
工業加熱装置のバッチ炉、連続炉(加熱室撹拌ファン使用装置)

※技術や装置に関するお問い合わせや、既設炉の攪拌ファン長寿命化をお望みの場合は、
こちらまでお問合せください。




  • バッチ式浸炭焼入炉

  • 連続浸炭炉